「特定技能」と「人材派遣」は何が違う?求職者が知っておくべき基本的な仕組みを解説!
求人情報を探していると、「特定技能」という言葉や「人材派遣」という言葉を目にすることがあります。
どちらも人材に関わる言葉ですが、実はこの2つは同じ分類の制度ではありません。
「特定技能」は、外国人が日本で働くための在留資格です。一方、「人材派遣」は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で働く雇用・就業の仕組みを指します。
そのため、「特定技能と派遣のどちらを選ぶか」という単純な比較ではなく、それぞれが何を意味する言葉なのかを理解することが大切です。
この記事では、求職者の立場から「特定技能」と「人材派遣」の基本的な違いを整理し、なぜ両者が混同されやすいのかについても分かりやすく解説します。
1.【一目でわかる】特定技能と人材派遣の根本的な違い
「特定技能」と「人材派遣」は、どちらも求人や人材サービスの現場で使われる言葉です。しかし、分類している「軸」がそもそも異なります。
一言で整理すると、特定技能は「外国人が日本で働くための在留資格」、人材派遣は「雇用関係と就業先が異なる働き方」です。
特定技能は「在留資格」
特定技能は、一定の技能や日本語能力などの要件を満たした外国人が、日本国内の特定の産業分野で働くための在留資格です。現在、特定技能1号の対象となる特定産業分野は16分野に広がっています。介護、建設、農業、外食業など、人手不足への対応が必要とされる分野が対象です。
つまり、「特定技能で働く」という場合は、まず外国人がどの在留資格で日本で働くのかという話になります。
人材派遣は「働き方」
一方、人材派遣は雇用の仕組みに関する言葉です。
派遣会社が労働者を雇用し、その労働者が派遣先企業の指揮命令を受けて働きます。法律上の雇用主は派遣元であり、実際の仕事の指示を行うのは派遣先という三者関係になるのが特徴です。
この違いを表にすると、次のようになります。

ここで重要なのは、「特定技能」と「派遣」は必ずしも対立する概念ではないという点です。
原則として特定技能は直接雇用ですが、一定の条件のもとで派遣による受け入れが認められている分野もあります。
2. 「特定技能」とは?人手不足を解消する国家制度
特定技能は、日本国内の人手不足に対応するために設けられた在留資格です。一定の技能を持つ外国人が、定められた産業分野で働くことを認める制度で、特定技能1号と特定技能2号があります。
特定技能1号では、原則として技能試験と日本語能力に関する試験などを通じて、仕事に必要な技能・日本語能力を確認します。なお、一定の要件を満たす場合には試験が免除されるケースもあります。
対象分野や業務内容は制度上細かく定められているため、「特定技能なら日本国内のどの仕事でもできる」というわけではありません。
原則は企業との直接雇用
特定技能外国人の雇用では、原則として、実際に働く企業と外国人本人が雇用契約を結びます。
たとえば、製造業の企業が特定技能外国人を直接雇用する場合、その外国人はその企業の従業員として働くことになります。
この点が、派遣との大きな違いです。
また、特定技能1号では、受入れ企業に対して外国人が安定して働けるようにするための支援が求められています。企業が支援を行うことが難しい場合には、登録支援機関に支援を委託することもできます。
ただし、特定技能でも派遣が認められる場合がある
ここは、特定技能と人材派遣を理解するうえで特に重要なポイントです。
特定技能は原則として直接雇用ですが、現在の制度では、農業分野と漁業分野に限って、一定の要件のもとで派遣形態による雇用が認められています。
そのため、「特定技能=絶対に派遣ではない」と覚えてしまうと、かえって正確ではありません。
基本は直接雇用。ただし、制度上認められた一部の分野では派遣という形もある、と理解しておくとよいでしょう。
3. 「人材派遣」とは?雇用元と勤務先が異なる働き方
人材派遣は、派遣会社と労働者が雇用契約を結び、その労働者が派遣先企業で働く仕組みです。
厚生労働省は、労働者派遣について、派遣元が雇用する労働者を派遣先の指揮命令を受けて働かせる仕組みと説明しています。
たとえば、Aさんが派遣会社と雇用契約を結び、B社で働くケースを考えてみましょう。
Aさんの雇用主は派遣会社です。
一方、日々の業務について「今日はこの仕事をしてください」「この手順で進めてください」と指示するのは、実際に働くB社になります。
つまり、
雇用契約を結ぶ会社=派遣元
実際に働く会社=派遣先
という関係になります。
派遣会社が雇用を支える
人材派遣では、仕事を紹介するだけでなく、雇用契約、給与の支払い、就業中の相談などを派遣元が担います。
また、派遣先との間で就業条件などを調整する役割もあります。
そのため、求職者からすると「実際に働く会社」と「雇用契約を結ぶ会社」が異なる点を理解しておくことが大切です。
求人を見るときには、仕事内容や勤務地だけでなく、誰と雇用契約を結ぶのかも確認しておきましょう。
4. なぜ「特定技能」と「人材派遣」は 混同されやすいのか?
ここまで説明すると、両者の違いはかなり見えてきます。それでも求人情報などで混同されやすいのには、いくつか理由があります。
理由1:特定技能でも派遣が認められるケースがある
最も大きな理由は、特定技能と派遣がまったく無関係ではないことです。
前述したように、農業・漁業分野では、一定の要件を満たすことで派遣形態による特定技能外国人の受入れが可能です。
そのため、「特定技能なのに派遣なの?」と疑問に感じる人が出てきます。
しかし、これは制度上認められた仕組みです。
大切なのは、「特定技能」と「派遣」を同じ種類の制度として考えないことです。
特定技能は在留資格、派遣は雇用の仕組みです。
理由2:人材会社が複数のサービスを扱っている
もう一つの理由は、人材会社が複数のサービスを提供しているケースです。
たとえば、ある会社が人材派遣を行う一方で、特定技能外国人の紹介や受入れ支援を行っていることがあります。
この場合、会社のホームページに「人材派遣」「特定技能」「外国人材紹介」などが並んで掲載されているため、それぞれの仕組みが同じものだと感じてしまうことがあります。
しかし、実際にはサービスごとに契約関係や制度上のルールが異なります。
求職者としては、会社名だけを見るのではなく、「自分はどの制度を利用して、誰と雇用契約を結ぶのか」を確認することが大切です。
「特定技能」と「派遣」を別の軸で考えることが大切
「特定技能」と「人材派遣」は、どちらも仕事探しの場面で登場する言葉ですが、そもそも意味するものが違います。
特定技能は、外国人が日本で働くための在留資格です。
一方、人材派遣は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業の指揮命令を受けて働く雇用の仕組みです。
原則として特定技能は直接雇用ですが、農業・漁業では一定の条件のもとで派遣形態が認められています。そのため、「特定技能だから直接雇用」「派遣だから特定技能ではない」と単純に分けるのではなく、それぞれが何を表す言葉なのかを理解することが重要です。
仕事を探すときは、「どんな仕事なのか」だけでなく、誰と雇用契約を結ぶのか、どこで働くのか、どの制度が適用されるのかまで確認しておきましょう。
「特定技能と人材派遣、どちらが自分に合っているのか分からない」という場合には、両方の仕組みを扱っている人材会社に相談するのも一つの方法です。
たとえば、ナノ・クリエイトカンパニーでは、人材派遣に加えて、特定技能外国人の紹介や受入れ支援も行っています。自分の希望する働き方や仕事内容を整理しながら相談できる窓口を持っておくことは、納得できる仕事選びにつながります。


